NFD1級を取得して、ウエディングプロデュース専門のコースも終了して、車の免許も取った私はいよいよ転職に向けて動き始めました。
大阪でもオシャレな街で有名なところにウエディングフラワー専門のアトリエがあって、ゼクシィやLei Weddingなどの雑誌の広告欄で見るブーケの写真に一目惚れして、そこのホームページからスタッフ募集の案内をみつけて面接に行くことにしました。
面接の際、今まで作ったアレンジメントやブーケの中で見せれるレベルのものを選んで作品集として持参しました。
面接をしてくれたアトリエのオーナーは50歳くらいの男性で、話しやすい人でした。海外で短期留学をしていたときの話などをすると、その留学先の外人の先生はそのオーナーもご存じの方で、その先生の優しくてお茶目な人柄のことなど話に花が咲きました。私の履歴書を見て「こんな安定した企業を辞めてしまっていいの?」とも聞かれましたが、私はずっとそのつもりでお花を習ってきたので、「はい、大丈夫です」というようなことを答えていたと思います。
「じゃあ、とりあえず試用期間で今の仕事を続けながら毎週土曜日だけ来て」と言ってもらい、1ヵ月間毎週土曜日見習いで働かせてもらえることになりました。
ワクワクと不安でいっぱいだったような気がします。
指定された日から行くと、すぐにブーケグループのところに通されました。そのアトリエではブーケのグループと装花のグループに分かれているようでした。
いきなりカタログの中の「このブーケを作って」という感じで始まり、使用する花や葉や実の種類と本数を教えてもらいメモしました。
持参した作品集にも友人に作ったブーケなどを数点載せていたので「だいたいわかるよね?高さは〇〇㎝、横幅は〇〇㎝でとりあえず、カタログを見ながら作ってみて」と言われ、雑誌にも載っていた私がめっちゃステキ!と思っていたブーケを作ることになりました。
フォーカルとアウトラインをとりながら進めていましたが、センターを綺麗に作り込んでいくと、お花の数が足りなくなりそうになりました。オーナーからは「花の本数は決まっているから、中心ばかりお花を入れていくと足りなくなるからバランスをみて入れて」と言われました。
友人にブーケを作るときはいつも予備分も沢山用意していたので足りなくなるということがありませんでしたが、コストが決まっているものに、足りないからとどんどん花を足すなんてできないことを思い知りました。
決まった花材、本数でどれだけ隙間なく綺麗に仕上げることができるのかということを学びました。
初日は1日にブーケ3つが限界でした。
そのことを翌日友人に話すと「えーーー!入っていきなりブーケ作れるとか信じられへんー!私なんて雑用ばっかりで体力めちゃくちゃ使うし、もう毎日辞めたいって思ってるのにー」と言っていました💦
その友人は19歳のときフラワースクールで出会った子で、私がNFDを休んでいる間もずっと続けていて私より先にお花の業界に転職していました。業界大手の花屋に勤めていて、その頃憧れだった大阪のアートグレイスでウエディングフラワーの仕事をしていました。
私からすると、あのアートグレイスで毎日ウエディングフラワーの仕事ができるなんていいな~と思っていましたが、実際はブーケを作る人はベテランの人に決まっていて、装花もベテランの人がほぼ作られていて、他のスタッフは卓上花の見本を見ながら同じものを作ったり、あとは水揚げや運搬などのアシスタントが主な仕事のようでした。
逆に私は最初は下積みからだと思っていたのに、いきなり本番用ブーケをバンバン作ることに不安でしたが、かなりのお花を使って仕事をすることが楽しくもありました。
ただ、立ちっぱなしの仕事なので足腰の疲れが半端じゃありませんでしが…💦
最初のうちはカタログのブーケを全て作れるようになることが目標ですが、他のベテランになった人はお客さんとどんなブーケが作りたいかの打ち合わせができたり、色々任せてもらえているようでした。
その辺が大手と個人でやっているところの違いかな~とも思いました。
週1回の試用期間の間、色んなことがありました。
そのアトリエはオーナー以外全て女性で、従業員は10人くらいでした。
短い期間でしたが、女子特融の派閥みたいなものも感じました。話す人と話さない人、話し方などがわかりやすすぎ(;’∀’)
明らかにいじめられていそうな人も一人いて、私が話しかけても目を合わせようとされませんでした。
キツイな~と思ったのは、ブーケグループの親分みたいな人と子分との会話でした。
親分「見て~!このブーケ(自分で作ったやつ)めっちゃステキじゃな~い?私って天才かな~」
子分「いや~ん、凄いですぅ~。〇〇さん(親分のこと)天才ですぅ~」
みたいな(笑)
まぁ確かに上手いし、それだけなら冗談言い合ってるいい職場って感じですが、その親分の自慢話が止まらなかったり、それに対してオーバーなリアクションをする子分に違和感を感じたり…。
このグループの中で毎日働くのか…と思うとちょっとしんどさを感じました💧
アトリエは依頼を受けてブーケや装花を当日の朝に色んな式場にハイエースで運ぶので、免許取りたてで運転も苦手な私がいつか責任重大なお花を積んでハイエースを運転できる日がくるのか…という心配もありました(;・∀・)
そのアトリエは出来上がったブーケの写真を前日の夜などに花嫁さんにメールで送ったりしていたのですが、ブーケを作って配達した人が当日花嫁さんから、「ここが気に入らないから作り直して」と言われてアトリエまで持って帰ってきて、何時までに仕上げて持って行かなければいけない…などというトラブルもありました。
オーナーの奥さんが出来上がったユーチャリスのキャスケードブーケを梱包されているとき、伝票に金額が載っていたのですが、私が「このユーチャリスのブーケが25,000円でできるんですか~!?めっちゃ安いですよね?」とびっくりしていると、奥さんが「そうなの~。利益があまりないの~。でも主人が金額を決めてるから。ちょっと言ってあげて~(笑)」みたいなほっこりした感じのときもありました。
そのアトリエのブーケはデザインもいいし、使っている花材もいいものばかりなに値段は相場より低めのものばかりでした。
その辺もオーナーの良心的さがでているのかな~と感じました。
約1カ月の試用期間が終わって、お互いにどうするのか話し合う日がきました。
私は中学の頃から母と二人で暮らしていたので、母にそのアトリエに転職しようと思っていることを相談すると猛反対されました。
離れて暮らす兄にも相談してみましたが、答えはやはりNOという感じでした。
一番の理由は最初はバイトからで正社員になれる保証がないこと、家族経営というところでした。
私はもし何かあった場合派遣社員になるという覚悟もありましたが(その当時会社にいた派遣の女の子達が私(社員)よりいいお給料をもらっていたし、高卒で再び正社員になることは難しいと思っていたので)そこにも納得はしてもらえませんでした。
確かに転職してバイトになると月々4~5万くらい収入が下がることになりました。
そんな不安と、試用期間中に経験した不安とで、「やっぱり転職できない」という結論に至りました。
正社員で勤めていた会社は面白くて優しい人も多く、年の近い仲間もできたりして人間関係にも恵まれていました。仕事も担当を任せてもらっていて、やりがいもありました。
それでも実際に転職活動をして試用期間を経験するまでは好きなことを仕事にするということに強く憧れていました。
話し合いの日、オーナーは「採用することに決まったから、会社とは話し合っていつから来れるか決まったら連絡して」と言ってくれました。
わたしは余計言いづらくなりましたが、私の雰囲気をなんとなく察知されたようで、自分の思っていることを正直に話して、やっぱり自分は転職できないと思ったことを伝えました。
オーナーからは残念そうな感じと、ちょっと不機嫌な感じも伝わってきました。
そりゃ当然だと思いました。あんなにやる気アピールしてて、試用期間中も色々教えてもらいながら頑張っていたのに。。私以外にもスタッフ募集の応募を見てやりたい人達がいたかも知れないのに…。
そんなんことがあっても、試用期間分のお給料をいただけるとのことで、後日受け取りに行くことになりました。(なかなか行きづらかったけど💦)
お給料は封筒に入ったものを手渡していただいて、お礼を言いました。
帰り際、他のスタッフの人から「ちょうどブライダルシーズンの繁忙期やったしね。あんなに忙しかったら嫌になるよね。普段はあそこまで忙しくないんだけどね。」みたいな話をしていただきましたが、心の中ではそうじゃないんです…と思っていました💦
ちょうどその頃先に転職していた先輩からお誕生日プレゼントとお手紙をもらっていたので、私の近況と転職活動の話を聞いてもらいました。
先輩は「試用期間は雇う側だけじゃなくて、お互いにお試しってことやから、向こうからごめんなさいもありやし、こっちがごめんなさいもありやねんで。そのためのお試し期間やねんから。」と言ってもらってちょっとだけ気が楽になりました。
そのアトリエは数年後に移転し、その数年後に廃業されたようでした。
たまにホームページで作品の写真を見ていましたが、お花のセンスの良さはとても好きだったので残念でした。
アートグレイスで働いていた友人は数カ月でウエディングではなく、花屋の方に異動してもらっていました。ウエディングのときは毎日辛くて泣きながら通勤していたそうです💦花屋の方も1年くらい続けていましたが、結婚して退職しました。彼女には何歳までに結婚して何歳までに子供を産むという明確な目標があって、それをちゃんと叶えていました。結婚後は自宅でサロンをやりたいとも言っていて、それも実現していました。花屋さんはキツイことも多いけど楽しいと言っていましたが、お花にとって快適な温度にするために結構寒いようで、あそこにずっといたら冷えて不妊になる可能性があるとも言っていました。
夢を叶えていく友人、凄い企業に転職していく仲間達、結婚して子供を産んだ友人、好きなことを仕事にしている友人、25歳前後はそんな周りの子達の中で大きな挫折を感じた時期でした。
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